あのひと


あの子は一体何を見ているんだろうねぇ
嬉しそうに、時に悲しそうに


ちょうどほら君の、あ、君のそこからはちょっと見えないかも知れないけれど
こっちに来て、そう。ここらへんからよく見えるのだけれど
あちらの方から、こっち、君をずうっと見ているんだよ
君には見えないだろゥ?  なんでまたあんなところからねぇ?
いつも来る時間はまちまちなのだけれど、ほぼ毎日さ。
ただ君が、そう。そんなふうに飛び跳ねたり、駆け出したりしてもあの子はぴくりともしないで
ただ見つめているのだけれども、君が落ち込んでいたり、
例えば僕に悩みごとを相談したりしている時なんかの時
チラとそこを見ると、にっこり微笑んでるあの子がこちらを見てうなづいていたりするんだよ
薄気味悪い、って、、そういう感じでもないんだよなぁ
しごく優しい顔をしていてさ、なんだか何かを知っているような、
ただ、、何かを見ているんだよ確かに
その証拠に君が出かけていたり用事があってすぐに行っちゃったりするときなんかは
あの子もプイッといなくなっていたりするし
だいたいいつ頃からいたのやら、いつの間にかあすこに立っていて
すぅっとこちら、君を、う〜んそうじゃないな、、何かを見ているんだよ
君は気づかないかも知れないけれどね、


いったいあの子は君の、
何を見ていたんだろうねぇ