さよなら久保レジテンス


 間取五畳半トイレ共同風呂無し、収納半畳家賃2万円
 我うるわしのどん底生活
  ある時は虫ゴキブリのたぐいの大量発生に悩まされ
 又ある時は炊事場の狭さから火事騒ぎを起こし
 そしてなによりもCD発売にまでこぎつけた喜びの裏側で
 夏の猛暑、サウナさながらでの大量発注CDの山
 そもそもの発端は、『家賃を浮かせてお金をためよう』というなんとも軽々しい気持ちで
 臨んだ事だったのですが、今ではもう悟りを拓いたかのごとく日々を送っております。
  前回の住処が7万5千円もする家だったためか家具の類い一つ一つが家庭用サイズなため
 それを押し込んでの五畳半は、いわば基地さながらで、
 入り口にはいきなりなぜか三段扉の冷蔵庫があり、その隙間をすりぬけてやっと部屋に入る始末
 机と椅子の幅は約三十cm程しかなくそこにスッポリはまって作業などをしていると
 まるで飛行機のコックピットに座っているような錯覚に陥ります
  その他久保レジ(*久保レジテンスの略)の住人は
 隣はテクノとアイドル専門、斜向かいはバンドマン、そして向いはここ久保レジのヌシであります
  あと奥にはここ「久保レジ」を紹介してくれた親友高松さんがすんでおります。
 まるで地方のスナックさながらの飲み屋の間を入って奥、大音量のカラオケのこだまする素敵な我が家
 昔は俗に言うところの「チョイの間」ってやつだったらしく、飲み屋のトイレとしても使われていて
 まれに入り口で人が倒れていたり、ママと客との小競り合いなども日常茶飯事
 こんな素敵な生活を2年間も過ごしてしまい、いま、名残惜しくも転居の機会がやってまいりました
 毎週末の「居酒屋久保レジテンス」(家での飲み会)パンツ一丁での廊下の徘徊、近隣住民での騒音バトル、不法投棄のゴミ抗争、、それぞれみな懐かしい出来事になっております。
 此処を教えてくれた高松さんも仕事を変え新しい人生を迎えるとのこと、
 契約を終え、新居の手続きを済ました晩、二人で街にくりだし酒をかわしました。


 「久保レジに乾杯」
 「どん底に、、」


 さよなら愛しの久保レジテンス


        春夏秋冬